「心を生みだす脳のシステム」茂木健一郎 - 図書館で読む機会が有り、続きを家で読んだ。
心を生みだす脳のシステム 「私」というミステリー (NHKブックス)
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2001/12/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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他のブログ等で言い尽くされているかもしれないが、いくつかの点に絞って書いてみる。
- ことばの問題(超越性)
- リンゴや一角獣の指し示すものが、感覚(性)・・・質感と、志向性・・・それが何かという意識、の切り口で説明されているが、これはホーキンスの新皮質のボトムアップとトップダウンの信号の流れでも解釈できるように思えた。(*注: 決して過去の解釈の批判の意味で無い。)入力情報(質感を含む)が記憶に有るものと同一の場合ボトムアップして行き、同時に関連するエピソード記憶が有れば(リンゴの形から、味や、これはリンゴであるという意識など)トップダウンとして次に何が起こるかまで予測する。
- ホーキンスの「考える脳 考えるコンピューター」(2005)では、無意識のボトムアップ中の流れと同時にトップダウンの意識されない行動(歩行中の意識されない制御など)についての説明が有り、また、時間的・空間的なエピソード記憶についてシーケンスの記憶と説明されている。(リンゴをかじった場所や、その行為をその場で行ったことを[私は]恥ずかしいと感じた.. ことなどの記憶..)
- 心を生みだす脳のシステムの文中で説明されている「トップダウンとボトムアップ」は示唆的。茂木健一郎氏は、2005年のホーキンスより先にこのことばを用いている。
- マグカップを見て金魚鉢としての用途を考えるアフォーダンスや、伴う感情について
- (今考えると)感覚性と志向性の考え方との共通性が気になる。(同じものの別側面とも言えるのでは。)前提条件やアウトプットの違いで区別可能な場合でも、敢えて区別しないことも考えて良いのかもしてない。(「そう見えたもの」の差異に強く注目する視点も有るが同一性に注目する視点も有る。)
- 「そう見えたもの」の差異に注目しすぎると「同一性」に気づかない例は、心理学で「自分のペットが死んだ時の悲しみ」と「テレビドラマで主人公がいじめられたのを見た時の悲しみ」を区別しようとしているのに似ているような。
- ミラーニューロン
- 同様に、(驚きから冷静さを取り戻すと、)入力信号をエピソードを含めた記憶と常時比較しつつ、記憶と差異の無い時は記憶通りに、差異の有る時はそれと意識しつつ修正する作業と同じように思える。
- 「私」
- 感覚的クオリアと志向的クオリアから世界を認識する「私」は特異点か?という疑問が示されているが、最後まで読んでみて、今クールダウンした状態で考えると、記憶はすべてエピソード記憶として新皮質に置かれているような私見が浮かぶ。
- アフォーダンスや、伴う感情について、この当時、感覚的クオリアと志向的クオリアからの説明が試みられているが、実はあたかも存在しているように見える感覚的クオリアは、エピソード記憶の一部分にすぎないのではないか。
- 感覚的クオリアも、さっき述べた「そう見えたもの」の差異に注目しすぎると「同一性」に気づかない例かも(ボクがホーキンスに影響されすぎているかも)。
- いくつかのエピソード記憶から選択的にある記憶を「私」の意識として思い出すことで、あたかも「私が」そこにいるように意識(メタ認知)されるのかも。
- キーワードは「連想」だと思われる。この考え方では意識の座やホムンクルスを脳内に探す必要は無い。(無意識のシステム中に意識システムという別物を考える必要も無い。)
- 何か新しいことを創発することも、近いエピソード記憶から、「こういう似た状況ではこういうことが有った(問題を解決した)」ことを思いだし、答えを類推しているのかも。
- →近いエピソード記憶が有る→でも今欲しい答えは無い→前と違うのは○○で××の時の答えはある→○○と××の違いは△△→××の時の答えに△△を加味したら欲しい答えになる!(「→」で結ばれた各項目は全てエピソード記憶。各過程を一つずつ思い出すか、または瞬時に連続してひらめいて創発していると考える。)
- ○○の場合の答えは・・・××の場合からの変化率が(ほぼ)線形と解っている際は、(関連するエピソード記憶として)線形の場合の補正の仕方を記憶しているため、ほぼ正確に○○の場合の答えを予測可能。
- 「○○の場合」の答えは新規のエピソード記憶として、思い至ったプロセスとともに記憶される。
- 数学の問題を解くのも上と同様。
- 意志
※以上、twitterへのpostをもとに加筆・修正。
keyword: 人工知能、脳神経回路のモデル化