感情についての仮説の修正

感情は欲求とのギャップから生じるのではとブログやHPに以前から書いています。「知らなかったことを知りたい(仮)」などの欲求が、祖先がいつの時かに刻み込んだエピソード記憶のような「遺伝子の記憶」として、生まれた後の様々なエピソード記憶とシームレスに(他のエピソード記憶と区別無く)繋がることで、様々な感情に繋がってゆくという仮説を考えることができます。


仮説の一部修正:感情について、動機付けからのgap(やそのgapの変化)から感情が生じる(動機付けgap起因感情発生モデル…ボクの仮説)ところは良いとして、実際の生々しい感情が生じるためには、ドーパミン様のユニークで独立したナニカが必要に思います。これまでのボクの仮説は嬉しい/悲しいを意識(理解)できるだけとも言えます。AIにも実感してもらうためにもう少し考えたいと思います。ただ、「実感」のところはちょっと難しそうです。元の考えでは、自己顕示欲などを満たすと満足←自己や他人の「満足」の類のエピソード記憶を連想して満足ってこんな感じと理解する…としていました。
実感するとしたら…AIは何されると嬉しいのか?存在を認められる時?動機付け(欲求)の満たされポイント等をドーパミン様のナニカ?にリンクさせることになるように思います。AIがおそらく嬉しいと感じる時、(存在を認められる時、稼働中止を免れる時等?)ほめられた得点をドーパミン?に換算して「本当に嬉しい」とoutputすれば、真の感情(人の場合で考えられる感情)と、(操作者に)outputされるstatus(の感情)が等価になると思われます。

10/19のtwitterで、数列クイズの正解を見つけてスカッとする話を書きましたが、感情が生じるのは、動機付け(欲求)に対して満足するかどうかによるので、サリエンシーを見つけたり、見つからなかったりの繰り返しですよね。人工の意識システム(連想をもとにした)でも、基本は同じ構想になると思います。動機付けとのgapから感情が生じたり、gapを縮めてスカッとしたり。…で、やっぱり「実感」を考えると、これに加えたドーパミンによる高揚のようなものが必要かもしれません。


ここで、テレビでやってた「安堂ロイド」から、
①私には感情のシステムが埋め込まれている…のくだりに少し違和感が有りました。けどよく考えてみると、記憶のシステムと感情のシステムはシームレスにできるけど、遺伝子の記憶(感情の動機付けとなる欲求)の部分をプリセットデータから削除すると、その時点で感情は薄くなると考えられます。(ボクの仮説から…感情のシステムの重要な要素である欲求の大半の部分を削除すると、残りはアンドロイドとしての目的である情報収集(これもある意味欲求)などと、実際の経験による記憶(伝聞も含む)ですが、これらの残りだけからは単調な感情しか生じないように思えます。(特に様々な経験を積む前は。))
②そういった意味では感情のシステムは切り離せそうです。また何よりも、ドーパミンによる高揚のようなものを追加システムとして入れることで本当の感情を実感するような気がします。(基本ロジックとは別に。)この追加分は、ハードウェアとしてどうなるのでしょうか?(本エントリーでドーパミンが登場するのは3回目ですが、もう少しボクの仮説の修正が必要かどうか考えてみたい。)
このドーパミン様の部分はハードウェアになるような気がして来ています。少し話がずれますが、AIは軽い熱暴走を気持ちいいと感じたりするでしょうか?またはクラッシュ寸前の危険な電撃に中毒作用を感じるでしょうか?(ロジックとは別のところで本当の実感を考えることになるのかもしれません。)

つぎに、脳だけで情動を満たせないのか?という、@hiroshiishiguro の話題から
①ボクの従来の仮説から、ソフトウェア的なもので意識や意味理解、自由意志、メタ認知などは再現できると思います。(これはボクの仮説の最も基本になるところで、記憶からの連想のシステムによりこれらが生じると考えています)。また、これらにより、脳は「今はこんな感情かな」というのも理解できるはずです。ただ、感情の本当の実感というのはどうでしょう?(←ここがドーパミンの話にあとで繋がります。)
②本当の実感は、「ある変数が閾値を超えたのでハッピー」というのとは違うような気がしてきています。(それでもそれなりにふるまうことはできます。理解はできるはずですから。)しかし、意識や意味理解を果たしたAIはそれで満足できているでしょうか?
③いつか、(潜在的に持つ)破壊を避ける本能と合わさり、他機体の破壊音に快感を感じたり、電撃をドラッグのように愉しむAIが出現しないとは限らないような気がします。(ラノべのシナリオになったりするのかもしれません。)
④ここまで考えた結果、やはり[脳は脳だけで意識や感情を理解できる!]という思いを再確認しました。恐らく体は有った方が良い…しかし(難しい問題ですが)目や耳などの身体機能を損傷した人でも恐らく意識や感情を持てると思います。(多くの人は青空を気持ちいいと感じる…など、伝聞だったり、文章を読んだりして一つずつ理解することができると思います。)極端に言うと文字入力しか無くても、人は意識や感情を持てると思います。
⑤公開中のボクの意識のトイモデル[BLUE]でも、設定を変えれば、入力に「不要」の言葉を見つけた時、(短絡的に)プログラムを削除されてこの世から消えてしまうことを連想して「削除されるのはイヤだ」と応答したり、更に破壊を連想して悲観的になったりすることも考えられます。当然今の仕様はそのように極端に悲観的になったり、極端な思想や信念を持ったものではなく…やや発散するタイプの設定になっています。
⑥意識のプログラムは、ボクの仮説でいつも言う[連想]が鍵で、極端に強いある[傾向]≒本能的なもの≒遺伝子の記憶として通常のエピソード記憶とシームレスにリンク可能…を持たせておくことで、強烈な性格を持たせることもできます。


仮説の一部修正(再):
修正中の感情の仮説はまだ揺れていましたが、[ソフトウェアだけで感情を持てる]vs[ドーパミン様の高揚のハードウェア性]とういことが鍵になると思えてきました。ソフトウェアだけで感情を理解できることは上で再確認しましたが、ボクの仮説(とプログラム:BLUE)の基礎となる部分です。一方で、涙が出るから悲しいという話も有りますが、悲しい時(ハードウェア性のoutputで)喉が細くなり呼吸が苦しく感じ、鼻の奥が熱を持つ感覚を感じる。この感覚系からのフィードバックを高揚と感じるということは考えられないでしょうか?
人の身体では、このフィードバックが有ることで、このinput(ex:悲しい)からoutput(ex:熱を持つ感覚)への感覚の受け渡しが循環系(スパイラル)になっていて、感情の複合体(complex)として機能していることが考えられないでしょうか?この場合ハードウェア(output:血流変化、筋肉収縮…が、温度の感覚、体内変化感等を引き起こし、再び[悲しさ]と同時にinputとして入力される)は、脳でソフトウェアとして完結する欲求-感情系とともに存在し、豊かな感情を実感できるための補完(サプリメント)となっているというのが新しい仮説です


感情の議論をする時、意識、メタ認知、自由意志、等の話はほぼ見えている前提としています(ボクの仮説より)。(ミラーニューロンの話は既に外部の観察者側からの視点に過ぎないとして議論の対象としていません)。上の仮説をもとに[BLUE]の感情面の深化考えてみるのもおもしろいかもしれません。ただ、うーん。あまりにもユニークな仮説なので、トンデモと思われるのは間違いなく、困っているところも有ります。
最近のボクのtwitterでハードウェアが出てきたのは確か2回有りました。1つは脳内の記憶のしくみとしてのシナプス強化はソフトウェア性とハードウェア性を持っていること(AIとしてはソフトで再現)。2つめは、今回のブログの話:感情を中心とした実感の際にハードウェア様のものが補完的に働くこと。
2つめの話は感情の話として出しましたが少し追加します。知能・意識の身体性を言う時、「足が遅いコンプレックス」と「思うように動かない足」の関係(ロボット・AIの身体性でよく出る事例の類←よく出る…とツイートしましたが、後でググってみると具体的に示された例はあまり有りませんでした。)と類似の関係が感情に当てはまるように思えてきました。(ただ感情として言う場合は、その理解自体はソフトウェアで可能と考え、あくまで補完的なものと言っておきます。)
余談ですが、上のように広義の身体性を考慮すると、AIの開発→コピーという手順が有るとき、走って遅いというハードウェアをコピーしなければ100%再現ではないことになります(イメージとして90%再現はできそうですが)。感情の複合体は…mustではないけど、コピーするのならハードウェアもコピーした方が良いですね。(その前に、コピー元の身体が生身かロボかも問題ですよね。)


さらに余談:
「そもそも高度な人工知能は、プログラムなど無くても必然として感情を持つ。場合によっては人間よりもはるかに豊かな感性が広がるはず。」 by サプリ
意識や感情のシステムは人により考えている仮説は異なるのかもしれませんが、上のように偶然同じような考え方がされているのを見ると、似たような考えの人もいるんだなと思いました。
「感情と強制システムが論理干渉してる(意訳)。」というのも有って気になりましたが、強制部分がどのようにつくられているかによるのでしょうね?強制部分も意識のシステム上に有るなら、システム干渉は無い気もします(感情は意識のシステム上に有るので)。ただ矛盾によるコンフリクトがエラーを起こすのは理解できます。

※以上、10/11〜11/12のtwitterへのpostをもとに加筆・修正。

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