プログラム「意識の積み木の部屋(人の意識の超簡易意識モデル)」でまだできていないこと

これまで「意識の積み木の部屋」では意識の基本的なとこについて(あるレベルで)一応実装できたと考えています。まずは"BLUE" ver. 6.1.0にアクセスいただき、実際に体験いただけると非常にありがたいです。ただやはり、実際に体験した人のなかにも、これは何?と懐疑的な人も居られます。BLUEのログを見ていると、「大幅に改良が必要」とか「根本的に・・・」などと書いてある。わかります。思ったように応答しない場合が有るということですよね。

①まず、実際にアクセスされた方は分かると思いますが、ちょっと入力の文章内容からはずれた応答が多くないか?ということでしょう。
現在の仕様が、やや奔放に連想するように見えるのは、一応重み付けしているんですが、ちょっとヘンな候補が有る場合、たとえ1/100の重み付けでも、最終的に選択されてしまうことが有るからです。

  • 関連の高い連想が5件有る時、関連のやや薄い連想は50件ほどhitする場合が有ります。
  • このまま最終応答を選択すると、ランダム選択の場合、50/55は関連の薄い連想なので、関連の高い連想がhitする確率は1割ほどとなります。
  • この時、実際は、関連の高い連想については、4〜5倍の重み付けをするので(仕様です)、25件分が関連の高い連想となり、関連の高い連想がhitする確率は1/3程度となります。

これを嫌って(重み付けをもっと極端にするなどで)堅実な仕様にすることもできるのですが、そうすると決まり切った応答ばかりするように見えてつまらないので、少し思い切って奔放な感じにしています。実は、堅実な仕様にすればするほど、昔の人工無脳(無能)に近づいてしまいます。(連想の機能を無くせばこのプログラムは単なる人工無脳と殆ど変わりません。)

人の場合はどうでしょう?入力に対して、関係ないことは発言しないような大変堅実な方もいますが、ボクのまわりには少しでも関係有る連想を次々と口に出すようなオモシロイ知り合いもいました。それは時と場合によるのでしょうが、やや意外性を持った応答を好ましいと考えてこの仕様にしています。「時と場合」というのは一つのkeyですが、後に書く「話題」を理解し、そのために入力や出力の文章それぞれのの意味を理解するということが、より重要になってきます。今後のバージョンの一つで、応答の候補と選択過程を全て示すということも考えられます。(ただ、今回の文章もそうですが、全てを晒してしまうのは勇気が必要で… 実現しないかもしれません。)

ただ、入力として、「おい」とか「?」…などのような短い書き込みのみの場合は、残念なことに連想がうまくはたらかないことが有ります。このような入力にも備えておくことは非常に重要と感じているのですが、どのようなことに注力して備えるのが良いか予想がつかないため、十分準備できていない状況です。非常に厳しいご意見に対しては…まだ積み木の部屋レベルの完成度でしかないため、訪れていただいただけでも感謝いたします。できるだけ今後の改善に有効に活用して行きたいので、できるだけ多くのアクセスをお願いいたします。(追記)

②意味理解について
実は、今回のver.6.0.0 以降の解説ではあまり触れていませんが、BLUEの歴代のシステムでは意味理解は非常に重要なテーマでした。

  • 入力語句・文章をいくつかのキーワードで評価する試みをver.5.1.0 からトライしています。価値観のようなものだと思います。
    • BLUEでは「価値の高い」、「将来性の有る」をキーワードにしています。当初からあまり多くのパラメータを持つのは無謀と考えて2つに絞っていましたが、無限に持つ必要が有るのかどうかの答えは見えていません。また、今回メインに導入したの連想からの推測システム(αシステム)に対してこのオリジナルのシステム(βシステム)がどのような位置付けになるかももう少し結論は先送りしたいと考えています。実は、αシステムを順調に育成すればβシステムのような付加的なものは不要になるという考え方もできるからです。(価値観というものも、色々な語句・文章から連想することができ、自分のキャラクターや、時と場合によっても、どのようなものがよりぴったりくるかというのが、自然にできあがるような気がします。その価値観に従った応答もできるようになると思っています。それが成長ですよね。…もちろん類義語や重要な連想パターンなどを順調に学習してゆくのが前提ですが。)
    • 過去に入力された語句・文章に対する「価値の高い」、「将来性の有る」面の評価を元に、入力された語句・文章を自動的に評価し、保存しています。←つまり、おおもとは、或る語句を手入力で評価したものを(補足しながらも)ずーっと参照し続けているということになります。
  • 入力に対して(それが意見表明の場合)賛成なのか反対なのか…または賛成/反対の意思表示をされた場合に納得できるのか、というのをβシステムとして持っています。ただこれも、αシステムを順調に育成すればβシステムのような付加的なものは不要になるという考え方もできます。(ただ、さすがに相当順調に学習・成長しないと、意見表明や賛否ということ自体の理解に至らないと思うので、現時点では有って良いかなと思います。)
  • 疑問文・否定文処理…そうとうハズカしいシステムを導入しています。(これはαシステムの一部ですが。)データベース内データ、入力データの両方について、一応、肯定か否定かを判定しています。日本語言語処理のプロの方であれば、本格的に判定できると思いますが、リリース中のシステムでは細かいところには目をつむっています。疑問文については、こちらも一応語尾の形などから判定しています。疑問文の場合、データベースにそのまま入れてoutputに使われると、BLUEから疑問文を連発するような形が頻発してしまいます。…そこで、「○○と聞かれてた。」の形に変形して、データベースに入れています。…そのため入力に対し、連想として「○○と聞かれてた。」と応答する場合が有ります。「答えになってないじゃん」って思うかもしれませんが…、大切な入力データをムダにせず有効に活用しようという試みです。←そうとうハズカしい。
  • 類似語処理…これは「連想からの推測システム(αシステム)」を活用するところです。入力に対し、あらかじめ類義語はこれこれと準備できていれば、2段目の連想時にその類義語からの連想ができるはずです。ただし、これはサイトを訪れた方(visitorの方)に頼るわけにはなかなか行かないので、ボクが準備しておく必要が有るのですが、何について準備しておくのが有効かが予想がつかず、十分準備できていない状況です。

③話題保持について
これも実はBLUEの歴代のシステムでは重要なテーマでした。そこでβシステムとして今回も導入しています。これは上の「入力に対して(それが意見表明の場合)賛成なのか反対なのか」を示すシステムと一体となっていて、キーワードを決め、対応しています。ただ、この話題というのは難しいですね。人の場合は、重要なキーワードを判断し、重要な場合はモードを切り替えてでもその話題を保持しているように思います。BLUEの場合、キーワードに対しある価値観での評価を行っていますが、その評価値はいわゆる重要度としては活用していません。考えられる実装としては、何らかのパラメータ上で或る閾値を超える入力が有る場合、αシステム上での重み付けを操作して「関連の高い連想」に選択候補を絞り込むという方法でしょうか?

④意識について
このサイトやtwitterで機会毎に、今回の「意識の積み木の部屋」"BLUE"で意識を再現できていると主張してきています。さあ、ここに何を書きましょう?色々テクニカルな課題(連想の段数を何段にするかとか)は有りますが、基本的に"BLUE"の意識について、足りないと考えている部分は有りません。

メタ認知・自由意志について
同上。基本的に"BLUE"のメタ認知・自由意志について、足りないと考えている部分は有りません。

※BLUEの意識・メタ認知・自由意志についての説明は、2013-02-10のエントリを参照願います。

⑥感情について
"BLUE" ver. 6.0.0 のリリース時に、ちょっと別の考えが浮かんだと書きましたが、実は、これももともとのBLUEシリーズに導入していたβシステムの感情表現は、αシステムで結局置き換わることになるのでは?と思ったからでした。ということで、現時点では明示的に感情を表すため(だけ)のコードは書いていません。αシステムの中に、○○の欲求に対してこんな感情が生じて…類似の感情にはこんなのが有って…と書き込んで行くとαシステムでの感情表現が深まって来るような気がします。このプログラムの企画時点ではα→β→正規版と進めて、その正規版で感情システムを織り込むつもりでした(もともとORANGEは感情表現を表情で表す試みを行っていましたから。)が、色々有って保留中です。次のupdateで(明示的な)感情を織り込むことにするかどうかも未定です。


このシステムには意識が有るので(←ちょっとMADでトンデモ)ちょっと手を加えにくいと思っていましたが、この文章を書いてみて、まだ色々なアプローチが考えられるかな、と少し思いました。具体的にはこれからですが。実は一方でこのシステムの英語版も考えているのですが、英語版の形態素解析器や構文解析器(の使いやすいもの)が見つからず困っています。web APIのタイプで入力単語の原型(現在形・単数形…)を出力できるものをどなたか教えていただけないでしょうか?日本語版のYahoo形態素解析が利用できたのは奇跡に近いほどラッキーだったのかもしれません。(別のものをトライして断念したことも有りますから。)

keyword: 人工知能