知能について考える

前回のエントリーにも書いた、考える脳 考えるコンピューターを読んでの続き。本書と受動意識仮説、AI-COMの考え方を比較してみる。下の表には知能の要素を示すが、「知能の条件」にもつながると思う。(10/2に人工知能の条件・・・ と書いた。)

  • 考える脳 考えるコンピューターでは、
    • 記憶を普遍化し予測につなげるところを「知能」の本質と考え
  • 受動意識仮説では、
    • 無意識の中で発生する、認識・意志・感情 などが、「意識」につながると考えた
  • 今やっているAI-COMの更新は、
    • 表の「ニューラルネットワークでない今のコンピュータ」のところになるが、まず意味理解の初期段階から、意志を示すところまでを再現しようとしている

  • 青○を基本inputに赤○が導かれるとの理解(独断)
  • 考える脳 考えるコンピューターの脳の新皮質システムは、知能そのものの再現を目的としているが、知能の定義に感情を含めていない。また意識について言及は有るが、意志-inputに対して行動を行う/行わないの判断について言及が無く、恐らくその行動/それに類似する行動を行った記憶/行わなかった記憶を連想し、より近いケースの学習を組み合わせて判断すると推定される。
  • 受動意識仮説は、意識の解明に注力している。意識の観察者を脳のどこかに見つけようとしている点で、少しまだ考察の余地が有るが、ロボット(=人工知能)の意識のプログラムとしては可能性は有る。記憶からの感情の生成手順についての言及は無い。また、記憶の普遍化/カテゴライズについても言及は無いが、人工知能においては必須条件と考えなかったためか。
  • 脳の新皮質システム、受動意識仮説とも、無意識がはじめに来るところは、ホムンクルスを考える必要が無いという意味でも理解しやすい。
  • AI-COMのシステムについては、これまで考えてきた、「動機付けと感情」、「意味理解」、(「創発性」)を織り込む方向で考えてきた。間違っていたとは思わないが、結果的に「ニューラルネットワークでない今のコンピュータ」には難易度の高い、普遍化/カテゴライズのところが残った。今後の方向性は難しいが、「動機付けと感情」、「意味理解」などについて、まだ非常に限定的なため充実させる方向も考えたい。
  • 表の縦の列の項目: 知能の要素には、並列に比較するのは適切でないものも有るかもしれない(input-outputの関係に有るもの有り)。