考える脳 考えるコンピューター

遅ればせながら読んでみた。

考える脳 考えるコンピューター

考える脳 考えるコンピューター

内容詳細は、はてなkeywordの「含むブログ」に多くの記述が有るが、気になるところは、

  • 未来を予測する能力こそが知能の本質
  • 今のコンピュータ・人工知能や、ニューラルネットワークは知能を持てない。脳の新皮質のしくみの理解と再現が必要
  • (提案の細部にはきっと誤りがあるだろう)
  • 知能は行動で表されるものが全てではない
  • 脳(新皮質)システムの特徴は
    • パターンのシーケンスを記憶する
    • パターンを自己連想的に呼び戻す
    • パターンを普遍の表現で記憶する - 過去の記憶にもとづいて未来を予測
      • 蓄積した記憶との比較で理解する。
  • 知能を備えた機械は、感情を持っていない(持つ必要は無いと読める)

と言ったところ。

  • 未来を予測する・・・については、文字通り本書の本質で、「学習を含むニューラルネットワーク」とそう大きくは変わらないと思われたが、「ニューラルネットワークでない今のコンピュータ」のイメージからは確かに遠い。ただ、「ニューラルネットワークでない今のコンピュータ」の場合も、蓄積された情報(=順当な場合の予測)との差異から次の行動を決定するという意味で未来を予測していると言えるかもしれない。
  • 本書の中では、(単純な)ニューラルネットワークに懐疑的で、提案するシステムは、脳の新皮質を再現した別のものというイメージ。発展させたものとも読めるが。
  • 「知能は行動で表されるものが全てではない」について、恐らく今までは、これは問題にする必要は無いと考えられていたと思う。(行動で表されない部分は敢えて無視することで。)本書では、特に「自分の家のドアの鍵を開けて中に入る」といった、普段通りの一見どんな知能が働いているか解らない場合のニューロンの活動にも着目している。((直接の話題から離れるが、)対話応答システムの場合、行動で示されないケースは、「エージェントが何か思っても応答しない」という場合が想定される。)前野 隆司氏の受動意識仮説を思い出した。本書は、時間軸や予測の観点から知能について論じており、仮説は、感情を含む意識について論じている。両者は、エピソード記憶生成のプロセスなどが全く異なるため関連性は皆無の様にも思われるが、「無意識」または、「普段予測通りに物事が進む場合の水面下のプロセス」に着目している点が興味深い。
  • 感情・・・については、この著者の知能についての理解の上の主張と思う。確かに感情の無い知能は想像はつくが、日本人の場合、その仮定にかなりの違和感を感じる人が多いと思う。

できれば後で引用して細かく考えてみたい。